キジムナー
沖縄の言葉、キジムナー。
沖縄ツアーに行ったことのある人のなかは、この言葉の意味を知っている人もいるでしょう。
キジムナーは、「鮫どんとキジムナー」という古い民話のなかにも出てきます。
・・・男は軽々と歩いて宇江城の前の当山にまでくると、なんと、そこにたっている桑の木へ吸われるように身を消しました。
はっと思って探してもあたりには何の形もありません。
この桑の木は千古も年を経たかと思われる古木で、木地魔物(きじむん)が化生したと思われるほどの妖気を漂わしていました。
「やはりキジムナーだった。おそろしいことだ」
・・・鮫どんはいそいで家に帰ると、妻にすべてを話してきかせました。
おそろしい魔力をもっているキジムナーが夫の友だちになっていると知った妻女は、夫の身を守るべく勇気をふるいおこしました。
翌日、漁にでた鮫どんはそ知らぬふりで男と魚を釣っていましたが、「うまくいったかどうか」と胸をとどろかせていました。
キジムナーだと知った今、話す言葉もぎこちなくなって、いまにも飛びかかって生きぎもをとられるのではないかと、おびえずにはいられませんでした。
妻女は、キジムナーが元木を離れて漁をしている時間に、当山の桑の古木を枝ものこさず焼き払ってしまいました。
キジムナーは、元木を失って、大木の多い北の国頭へでもいったのでしょうか。
二度と漁場にはあらわれなくなりました。
おしまい。
キジムナーは木の精だったのです。